大腰筋と腸骨筋のメカニズム
第一回構造動作(アナトミカル・アクティビティ)トレーニングセミナー開催にあたり、大腰筋と腸骨筋のメカニズムについて述べてみよう。
日本人はネコ背の人が多い。
ネコ背姿勢は骨盤が後傾している。
「骨盤後傾」は、足の付け根である股関節(ヒップ・ジョイント)を動かすための筋肉を固めてしまう。股関節を動かすための筋肉は大腿前面筋群、内転筋群、ハムストリングス、殿筋群(大殿筋、中殿筋、小殿筋)、外旋六筋、腸腰筋(腸骨筋・大腰筋・小腰筋)など。私たちは股関節にブレーキをかけ続けることで、人体構造上様々な問題に直面しているのである。
問題の解決は、まず「骨盤立位」に正すこと。
そのトレーニング方法としていくつかの「骨盤おこしトレーニング」を紹介した。「骨盤おこし」は単に骨盤だけを修正するものではなく、腹、胸と胴体をワンセットとしてトレーニングするものである。足の付け根は股関節(ヒップ・ジョイント)なのだが、股関節を動かす筋肉は腹のレベルまで付着している。ここでは述べないが、腕を動かす筋肉も腹のレベルまで付着していることから胴体をワンセットとしてトレーニングする必要がある。
股関節を動かす筋肉で腹のレベルまで付着している筋肉には腸腰筋(腸骨筋・大腰筋・小腰筋)がある。「骨盤後傾」では腸骨筋が伸長、大腰筋と小腰筋が収縮で固められている。固めた腸腰筋を解除するためには、骨盤と腹の関係、強いては胸を含めた胴体の関係を正さなければならない。
腸骨筋
〔起始・経過〕腸骨の上縁および内面(腸骨窩)から起こり、下内側方に向かう。
〔付着〕大部分は大腰筋の内側に合し、一部分は筋裂孔をへて直接に大腿骨の小転子。
〔作用〕大腿骨を、外側方に転ずる。日本人体解剖学第一巻医学博士金子丑之助著
大腰筋
〔起始・経過〕深・浅2頭を区別し、先頭は第12胸椎~第4腰椎の椎体および肋骨突起から起こり、深頭はすべての腰椎の肋骨突起から起こる。ついに、両頭は合して下外側方に走る(両頭の間には腰神経叢があり、両頭をへだてる)。
〔付着〕筋裂孔をへて、大腿骨の小転子。
〔作用〕股関節を屈し、大腿骨を前上方に挙げ、同時に外旋する。下肢を固定するときは、腰椎および骨盤を前下方に引く。小腰筋
〔起始・経過〕第12胸椎および第1腰椎の椎体外側面から起こり、大腰筋の前面を下る。
〔付着〕腸骨筋膜に分散し、これとともに腸恥隆起にゆく。
〔作用〕腸骨筋膜を張り、腰椎を外側方にまげる。参考日本人体解剖学第一巻医学博士金子丑之助著
腸腰筋(腸骨筋・大腰筋・小腰筋)の作用は上記を参考にしてください。
骨盤立位が維持できるようになると、腸骨筋の持続的な伸長状態が解除される。腸骨筋は内臓器等の重みを直接受けやすく持続的な伸長状態で固められていることが多い。内臓器が腸骨筋の負荷となる理由のひとつに大腰筋の持続的な収縮状態がある。腰椎を前下方に引くことで腹腔内が狭窄状態になり腹腔内圧が低下し内臓器は下方に落ちるのだ。大腰筋の持続的な収縮状態を解除するのには骨盤立位に加え、腹と胸の関係を正さなくてはならない。
腰椎や股関節等に起こる疼痛や機能的問題の多くは、人体構造に即した動きをしないためにおこる。
大腰筋と腸骨筋は「腸腰筋」として働くこと、強いては「身体」として働くことが大切だ。腸腰筋は深層筋であることから、直接的に筋肉を確認することは難しい。しかし、「身体」として骨格位置等確認すれば容易に「腸腰筋」の状態を把握することができる。何か身体にぎこちなさを感じたら、部分(腸骨筋や大腰筋)のトレーニングではなく、全体(身体)のトレーニングがいい。自分自身(身体)がより理解できるだろう。
文責 中村考宏
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☆身体の治し方(姿勢センターJAPAN)
☆股割り(MATAWARI JAPAN)
書名 :Grant's METHOD of ANATONY Tenth Edition
著者 :J.V.BASMAJIAN
出版社 :Williams&Wilkins
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